お腹の赤ちゃんが流産や死産、人工中絶をしたのち、
「水子供養はするべきか」と疑問に思うのではないでしょうか。
このように、水子供養をするべきか考えたとき、私たちはどうすればいいのでしょうか。
結論から言うと、水子供養はする必要がない、むしろ水子供養しない方がいいといえます。
そもそも「水子供養」という慣習は、ここ数十年で作られたものです。
ですので、「水子供養」の正しい定義等なく、個人(僧侶や神主、聖職者)の考え方に基づき「水子供養」をすることが多いのです。
また、仮に同じ宗派であったとしても、微妙に意見が分かれることもしばしば・・・。
そんな曖昧ともいえる「水子供養」
ここでは、水子供養をする必要がない、また、水子供養をしない方がいいかどうかについてお伝えしていきます。
水子供養とは
前提として「水子」とは、自然流産、人工中絶した赤ちゃん(胎児)のことをいいます。
現在では広い意味で、流産、死産、人工妊娠中絶など赤ちゃんがおなかの中で亡くなる全てをひっくるめて、水子と呼ぶ傾向にありますが、本来『妊娠12週までに亡くなった胎児』を水子と呼ぶのが一般的です。
そして「水子供養」は、水子(胎児)に対して、死後の冥福(幸福)を祈る行為のことをいいます。
当然ですが、水子供養は、水子の冥福を祈る行為、つまり「胎児の幸せを願う行為」なので、決まった形はありません。
形式などにとらわれないで、両親が「水子の幸福(冥福)を祈る」ことこそ、水子供養の本来の水子供養といえます。
水子供養をしない方がいい?! しなくてもいい5つの理由
前にも述べた通り、水子供養は両親が「赤ちゃんの幸せを願う」ということだけが重要です。
それ以上もそれ以下もありません。
しかし一般的な水子供養というと、寺院や祈祷者などに依頼し、供養やお祓いをしてもらうというイメージを持っているのではないでしょうか。
しかし、そのような水子供養は必要ないといえます。
ここからは、「水子供養」必要性がない5つの理由をみていきます。
1. 水子供養は、お金儲けのために作られたもの
特に違和感もなく、「水子供養しないといけない」と思われている方もいると思います。
それでは、水子供養をはじまったきっかけはなんでしょうか。
水子供養は、寺院がお金儲けの手段のひとつとして、広めていったのがスタートと言われています。
今でも都市伝説のように言われている「水子が災いを起こす」という考え方。
この考えが世の中に浸透した経緯は、今から50年前(1970代頃)に多くの寺院が、新聞広告などを利用し、
「水子は供養するべきもの。水子供養しないと、水子の祟りや災いが訪れる」などと、
恐怖心をあおり、大々的に宣伝していたことがきっかけと言われています。
さらにそれに便乗し、悪徳な占い師や祈祷師なども、
「水子供養しないと災いが起こる。不幸の原因は水子だ」
などということにより、日本中に広まりました。(俗に言う水子供養商法)
その心につけ込むなんてひどい!!
水子供養と聞けば、一見、耳触りは悪くないものです。
しかし実態は「流産や中絶したら水子に祟られる」という恐怖をあおることにより、儲けるためにできた制度。
決して、子どもを亡くした親の心を癒したり、救ったりする行為とは言い難いものです。
最近ではやっと、その傾向は薄れてきて、本当に赤ちゃんのことを思って供養する寺院も多くあります。
厚生労働省のデータによると、妊娠を経験した女性の流産経験者は約40%。
つまり5人に2人が流産経験者です。
このことを利用して、いまでも占い師などが、子供がいる女性だとわかると、
「あなたの赤ちゃんの霊がいますが、心当たりはありませんか」
「除霊をしない(水晶などのお守りを買わない)とあなたは一生幸せになれません」というようなことは、実際にあっています。
2. 水子は死者として扱われない
これは、非科学的な話ですが、
スピリチュアルの世界や寺院(仏教)、他の宗教、宗派でも、多くの考えの根底にあるのは、水子は死者として扱われず、またこの世に生を授かる(生まれ変わる)対象といわれています。
水子は、純真無垢で美しい心の持ち主です。
そのことより、一般な葬式や埋葬をしないことや、位牌やお墓などを作らないという考え方が広まっています。
そう考えると、今後生まれ変わるかもしれない(死者として扱わない)水子に対して、(寺院等で)供養をする必要があるのでしょうか。
これから先、この世に生を授かる可能性のある水子に対し、死者と同じような扱いをしないほうが自然だといえます。
※寺院によっては、両親の癒しのために水子供養をしているところもありますので、すべての寺院等があてはまるわけではないです。
3 水子は祟らない
水子供養しないと祟りにあう(不幸になる)ということを聞いたことがあるのではないでしょうか。
水子の祟りということ自体「作られたもの」だとお話ししましたが、いまいち信じられない場合のために、水子の祟り問題について言及したいと思います。
前提として、水子の祟りの『祟る側の水子(胎児)』は、あなたのおなかの中で一緒に生きてきた『子ども(胎児)』で、あなたは、水子(胎児)の親ということを忘れないでください。
その前提のもと、水子供養しないとどうなるでしょうか。
100歩譲って、水子の霊が現世でいたずらをするとしましょう。
そしたら、自分の子どもが親を祟りますか?
親を恨みますか?
(仮に水子になった理由が人工流産(中絶)だとしてもです)
あなたが、両親の幸せを願うように、水子も親の幸せを願うものです。
さらに水子は、純真無垢で美しい心の持ち主といわれています。
自分の子ども(水子)のことも、清らかな心の持ち主で、優しい子であると信じてあげましょう。
また、水子霊となって出てきたら、
いや、会いに来たら、どうしますか?!
その時は、水子を抱きしめてあげるという選択肢以外ないと思います。
一部の占い師など、不幸なの原因は水子の霊のせいだといい、色々と幸せになるグッズ等を勧めたりすることもあるでしょう。
ただ、あなたに不幸なことがあっても「水子の祟り」だといって、不運なことを自分の子(水子)のせいにしないであげましょう。
水子は全く関係ありません。
そもそも人の子ども(水子)のことを
「水子の霊がいたずらしている(不幸を読んでいる)」
などと言って、不幸の原因と言う人たちのことをあなたは信じるのですか。
おなかの中で一緒に過ごした、ご自身の子どものことを信じられる親でありますように。
4 流産(中絶)をなかったことにしない
水子供養された方の中には、水子供養=終わりとして、今回の出来事を強制終了したいという思いから水子供養をする人もいます。
確かに、気持ちの整理として水子供養するということはひとつの手段ではあります。
実際に(一般的な)お葬式は、遺族の気持ちの整理をするという役割をしています。
ただ、今回のことをなかったことにするために供養をする人もいますが、そんな水子供養は、供養でもなんでもありません。
手元にエコー写真しか、エコー写真すらないかもしれません。
それでも、少しでも赤ちゃん(水子)のことを考える時間だけでも、あなたの赤ちゃんはきっと喜ぶでしょう。
5 今後同じような苦しみを味わった人への道しるべとして
正直、「水子供養をしないといけない」という、強迫観念から解放されたらいいなと考えます。
流産や妊娠中絶をした方の多くは、水子供養のことが気になり、
「水子供養したほうがいいのか」
「水子供養しないとどうなるのか」などを考えます。
こんなに悲しいできごとなのに、なぜ祟りや災いと一緒にされるのでしょうか。
子どもを水子にしたくてする人はいません。
だからこそ、あなたも同じような辛い経験をした人に対し、同じように悩ませたくないはずです。
この悪しき慣習をなくすのは、あなたが水子供養しないことだといえます。
流産や中絶をした場合、水子供養に悩まされる社会より、流産、中絶した人の心に寄り添える社会を作っていきたくはないでしょうか。
そのためにも、水子供養という、見えない強迫から解放されるそんな社会ができればいいなと心から思います。
人工妊娠中絶(中絶)をした方へ
その結論に至ったこと、とても辛かったと思います。
悩みに悩んだ結果として決断したことだと思います。
しかし、この決断は生まれてくる赤ちゃんのことを思って決断されたと思います。
- 母体のことを考え、人工死産を医師から提案された
- 子ども生まれてきても、長くは生きられない
- 様々な理由で、今はちゃんと育ててあげられない
誰もあなたを責めたりしませんので安心してください。
罪悪感をもち、自分を責めるという方もいますが、赤ちゃん(水子)は少しもそんなことを望んでいません。あなたの子どもだから、あなたの気持ちはわかっていると思います。
特に人工妊娠中絶した場合は、供養するべきか悩みます。
「罪悪感につぶされそう」
「救いがどうしても欲しい」
という場合は、水子供養をすることで気持ちがはれるのであれば、検討してもいいかと思います。
実際にそれで気持ちが落ち着いたという方は多くいます。
辛いときに誰かに頼ることはとても大事なことです。頼る相手だけは間違えないようにだけ気を付けてください。
水子とともに、いや水子の分まで「幸せになる」ことが供養につながります。
わが子の分まで、しっかりと地に足をつけ生きてください。
もしかしたら、将来赤ちゃんがあなたのもとに戻ってくるかもしれません。
その時のためにも、自分自身が幸せになるような、なにかしらの努力をしてみるとよいでしょう。
それでも水子供養を悩まれている方へ
どうしても気持ちの整理がつかない、情緒不安定でなにもできない日々が長期にわたり続くということであれば、水子供養もひとつの選択肢にいれていいかと思います。(自身が水子供養をすることは悪いことではありません。)
ただ、あなたが水子を想う気持ちこそが、本当の水子供養です。 わが子(水子)のことを思い、泣くこと。これ以上の供養はないでしょう。
既にいっぱい泣いたという方は十分に供養になっているはずです。
また、ショックのあまり泣けない人もいるでしょう。
そうであれば、無理して泣く必要はありません。時間とともに涙があふれてくることがあるでしょう。
泣いてはいけないと思っている方もいるとおもいますが、泣いてもいいのです。
あなたが、わが子のことを思い悲しむことこそ、水子供養になります。
そして「おなかの中に来てくれてありがとう」と感謝するとよいでしょう。
おなかの中にいる間、いろんな思いがあったと思います。その気持ちを忘れないことが重要です。
時間なんて関係ありません。
おなかの中に赤ちゃんが来た時からあなたは母親で、赤ちゃんからすると大切なお母さんです。
水子供養の代わりにするべきこと
流産・死産した方は、赤ちゃんのことを忘れないこと
中絶した方は、赤ちゃんのことと今回の経験を忘れないこと
このことが水子供養よりなにより大切なことです。
決して「なかったことにしないこと」
胎児(水子)が「確かにこの世に生を授かった存在」だということを受け入れるこれが大事だと思います。
誰も覚えてなくてもいい
誰かに伝えなくてもいい
誰にも理解されなくてもいい
ただ、あなたが、胎児(水子)の存在を受け入れたそのことこそ最大の供養といえます。
そうすると、あなたの赤ちゃんは、お空で幸せになっているはずです。
さいごに
今回、一般的な「水子供養はしない方がいい」ということでお届けしました。
繰り返しになりますが「水子供養」は、水子(胎児)に対して、死後の冥福(幸福)を祈る行為です。
どんな素晴らしい聖職者であっても、あなた以上に「赤ちゃん(胎児)の幸せを願う人」はいないといえます。
だからこそ形式にとらわれなくても大丈夫です。
重要なのは、胎児(水子)のことを あなたが「想うこと」であり「受け入れること」。
それが最大の供養なのですから。