赤ちゃんが死産したら遺骨が残るのでしょうか。

もしあなたの赤ちゃんが、妊娠12週目(4ヶ月)以降、死産(後期流産)した場合は、火葬をしなければなりません。

悲しい思いでいっぱいですが、火葬する際に

「赤ちゃん(胎児)の遺骨は残るのかどうか」

ということは、最も気になることとしてではないでしょうか。

ただweb上をはじめ、情報を発信している人は皆無です。

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体験談ブログなどを見ても「私のときは…」というのが、ほとんど。私の知りたい情報にたどり着けない・・・

実際に、私たちのお客様でもある死産したご夫婦から、ほぼ全員といっていいほど「(火葬した後)遺骨は残りますか」と質問されます。

そこで今回は、実際に死産したとき遺骨は残るの?という疑問に対し、普段から赤ちゃん(胎児)のお葬式・火葬に携わる者としてお伝えできればと思います。

死産は遺骨が残るの?

「せめて遺骨だけでも…」

火葬をしなければいけない現実に直面した時、ご夫婦が強く願うことだと思います。

またご主人であれば、ご自身の気持ちだけではなく奥様のことも考えると、なんとか遺骨だけは残したいと思う人も多いといえます。

赤ちゃん(胎児)の遺骨は残る可能性は高い

いきなり結論になりますが、赤ちゃん専門のお葬式に携わる私の回答としては、

死産した場合「遺骨は残る可能性は高い」といえます。

遺骨が残る・残らないは、赤ちゃんの大きさや妊娠の週数が影響することがほとんどです。

つまり週数が経っていれば経っているほど、遺骨が残る可能性も高まります。

目安としては、

妊娠20週(6か月)以降であれば遺骨が残る確率は高いといえます。

また、12~15週位は正直、必ず「遺骨が残ります」という回答を明言できませんが、それでも20週以下でも遺骨が残ることが多いです。

もちろん死産した赤ちゃんは「上手く大きくならなかった」「なんらかの異常があった」ということがほとんどなので、一概に大丈夫だとはいえません。

もちろん必ずとは言えないですが、全体的に遺骨は残ることの方が多いので、心配しすぎることはありません。

・基本は6か月(20週)過ぎると遺骨は残る可能性大
・妊娠12週~15週までは赤ちゃんによる
・新生児死亡も同じ(生まれた週数に左右する)
・人工妊娠中絶も同じ
これから赤ちゃんとのお別れしないといけないあなたへ
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遺骨が残るときの条件

続いて、遺骨を残すために私たちができることはあるのでしょうか。

ここからは遺骨が残るときの条件や私たちができることについて考えていきたいと思います。

火葬の時間

今は一般的になりましたが、死産や新生児の火葬は早朝が基本です。

もし、火葬時間を選択する場合は必ず早朝にしましょう。

葬儀会社に胎児の火葬を依頼した場合、間違いなく早朝を提案されます。

(早朝を指定しないのであればよっぽど訳アリの葬儀屋さんかも…)

最近は火葬場においても、赤ちゃん(胎児)の火葬は早朝しか受け付けてくれないところがほとんど。

もっというなら、昼の時間に予約しようと思っても受付自体してくれない火葬場もあります。

赤ちゃん(胎児)の火葬は無条件で朝一番始めの時間(朝9時台~10時台)

火葬場について

火葬場によっても遺骨が残りやすさが多少異なります。

しかし、火葬施設の問題ですので、火葬に携わらない人には調べようがありません。

関東地区で避けた方がいい火葬場というのは、特にありませんので気にすることはないかと思います。

地域によっては、遺骨が残らなかったという話も聞いたことがありますが、原因が設備のせいかは定かではありません。

たまに「死産の場合は、子ども向けの火葬炉のある火葬場を選びましょう」という記事を見かけますが、多くの火葬場は、胎児(子供用)専用の火葬「小型炉」というのはありません。
しかも現実的にご夫婦だけで、小型炉を探すのは至難の業ともいえるので特に気にすることはないでしょう。

火葬場スタッフのスキルは関係ない

火葬をする場合

「火葬場の火を管理する職員(火葬技師)の技術により、火葬温度や時間の調整をして・・」

というイメージをもたれている方もいるかもしれません。

しかし人の技術で決まるといったことはほぼありません。

最近では、コンピュータで温度管理をする火葬場が多いので、人がすることは基本スイッチを押したり、不具合がないかを確認することが主となります。

火葬場の本来の目的

遺骨が残るか残らないかを悩むのは死産・新生児死亡の親 特有の悩みです。

火葬場は・・・

火葬場の設計は「確実に火葬すること」を目的としている。

頭の片隅にいれておきたいこととして、本来火葬場は、胎児の遺骨を残すことを考えて設計されていないということです。

基本的には、体の大きな成人男性(もちろん高齢者も含む)でも火葬できること想定しています。

そうなると赤ちゃん(胎児)の遺骨を残すことは、火葬場にとって例外的な対応に近いのです。

なので依頼する私たちは、死産の火葬時に”遺骨を残すことが当然だ”という態度は、正しい振る舞いとはいえません。

なお葬儀会社はよく利用している火葬場が必ずあります。
火葬場の設備に関して気になる場合は、葬儀会社に聞くのが一番よいでしょう。

死産時の葬儀業者(葬儀社)について

前項で伝えた通り、一般的な葬儀会社で、死産の火葬は稀な対応となります。

一般的な火葬では、遺骨が残ることが当たり前であるため、遺骨のことを考える葬儀会社の担当は残念ながら多くありません。理由として、一般的な葬儀と比べ、死産対応の数が少ないからです。

また遺骨のことのみならず、担当者によっては「心無い言葉をかけられた」、「言動にショックをうける」ということがあるかもしれません。慣れていないため仕方がないといえばそこまでですが、そういった事情があることを知っておいた方が良いでしょう(そうすれば心の平和が保てます)。

とはいえ、家族に対し、(遺骨を残すなどの)思いを叶えるため最善を尽くしている葬儀スタッフは増えているように思えますので、依頼する前から不安に思う必要はないかと思います。

(ただ死産を専門でしていても、「あの時このような対応をした方がよかった」など、いつも考えさせられます。)

病院に出入りしている葬儀会社の本音

火葬をする場合、病院側は葬儀業者を紹介してくれることが多いです。

しかしながら、病院に出入りしている葬儀会社(特に大学病院など大きな病院)は、死産を受けたがらないという傾向にあります。

病院に出入りしている担当者の立場でいえば、赤ちゃん(胎児)のお葬式は薄利な上、また対応が難しいからだといえます。

(病院に出入りしている葬儀社は大学病院等であれば霊安室の管理をしたり、病院との関係性を築くなど、日頃より営業活動をしています。そうなると大きな依頼を受けたいと思う葬儀社もあるのではないでしょうか)

そうなると死産の場合は、対応がなおざりだと感じることがあります。

※もちろん担当者や葬儀社によるので一概にはいえませんが・・・。

比較・紹介サイトについて

近年、葬儀会社を選択するのに利用されているのが、葬儀会社比較サイトです。

利用者側からすると、事前に料金が開示・比較できたりとメリットがあります。

しかしながら以下の理由により、赤ちゃんの場合は、比較サイトを利用するよりは直接問い合わせした方がいいでしょう。

  • サイトの内容とサービスが異なる場合がある
  • サイト運営会社に安く紹介料を支払うので葬儀会社が好まない
  • 比較する時間がない

高齢者のお葬式のように時間的に余裕がある場合、比較・紹介サイトは有効な手段のひとつですが、死産・新生児死の場合には利用しづらいといえます。

最後に

今回は、死産した場合「赤ちゃんの遺骨は残るのか」ということについてお伝えしました。

遺骨は残る可能性は高いですが、もし赤ちゃん(胎児)の遺骨が残らないようなことがあっても、誰も責められるものではありません。

これは神のみぞ知ることなのかもしれません。

ほんとのことを言うと、遺骨が残る・残らないことは関係なく、「(お別れする)赤ちゃんが生きていたという証が残っている」 

これだけでも幸せなことだといえます。  

最後になりますが、死産した子をお見送り(火葬)することに対し、納得の行くお別れなどありません。

もし、あなたかこれから 赤ちゃんとお別れしないといけないのであれば、赤ちゃんといるかけがえのない時間を大切にしていただければと思います。

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